薄紅・青・黄金・白/葉月 祐
 
だった



空は遥か遠い この手はもう届かない
深く広く透き通る空から
懐かしい風の香りがする
正体不明の甘い風が季節を告げる
銀杏並木に 微かに色の違う葉が混じる
この道は もうすぐ黄金色に変わるだろう
その道を わたしは踵を鳴らしながら歩き
人生の中に一瞬だけおとずれる恋の様に
短い今を全身で愉しみ 君とともに生きよう




あたりは徐々に静寂に支配されていき
気付けば冷えた枯れ葉の絨毯が敷かれていた
もうすぐだねと マフラーをまき直す
隙間から覗く空は 黒みのある重い青色
張り詰めた空気に心まで引き締められ
振り返り「どの季節も少しだけせつない」
なんて 思ってしまう

鼻に冷たさを感じた時


空から


空から








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