天然/Lucy
自販機で水を買う
百円の小ぶりのペットボトル
冷房の効いた車輌を待ちながら
冷たい水を飲む
汗が額から頬へ伝い
顎で雫となって
滴る
あたたかい風が吹き抜ける
ホームの日陰で
私は息を吹き返す
ペットボトルに
「天然水」と書いてある
ラベルには高山の写真
深い谷川を流れ下る澄んだ水
上流に湧き出る泉
あるいは雪解け水を連想させる
(浄水場で大量の塩素に浄化された
使用済みの水ではなく・・)
天然からもう遥かに離れた暮らしの中で
「天然」という言葉が放つ
特別の光
天然ボケの私も
光れるだろうか
冷たい水が
一瞬正気に戻してくれたら
天然の言葉が
私の頭上に
夕立のように降るかしら
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