すし詰め/服部 剛
 
今朝も電車の中で
僕はすし詰め
くたびれた背中のお米達に
すき間なく囲まれて
まぐろの気持が少しわかった

目を閉じると
あのきれいな木目の板へと
運ばれてゆくのを感じる

「はい、一丁あがり!」

板前の威勢のいい声を聞きながら
職場の上司等の
頼りなくもしかめた顔をネタに浮かべた
とろ・いか・あなごの後ろに
整列させられた僕はのり巻のひとりとして

見上げると

僕らの上から覗(のぞ)く顔に
世界は暗く覆われて

生唾(なまつば)を飲む

音が聞こえる 

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