名前/葉月 祐
 

余計な言葉はいらない
今はただ
あなたの名前を呼びたい

呼べば呼ぶほどに
わたし 満たされていく


明かりの無い部屋
名前を呼ぶ声だけが
この空間を満たす

何もなくても
いいよと 笑う


繰り返し
大切なことばを噛み締めるように
あなたの名前を呼ぶ

丁寧に 真っ直ぐに


耳もとで そっと
あなたがささやくわたしの名前
まるでこの世に一つだけの
宝物のように思えてくる

普段はあまり好きではない
この名前を
世界一で唯一の
プレゼントみたいだと 思う


あなたは どうですか
その言葉の代わりに
飽きずにまた名前を呼ぶ





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