裸眼散歩/葉月 祐
星も見えない
月も無い
私を照らすのは
切れかかった街灯だけ
目を細めながら
ぼやけた夜を焼き付ける
何も無い訳じゃない
手の平の中に
あの日の言葉と
光が残っている
届けきれない言葉のもどかしさや
持て余した感情の行き先を
どこにも放り投げる事が出来ない
夜道を進めば進む程に
このあきらめの悪さをどうか笑わないでほしい
ザリッと足音を鳴らして私は夜を見上げる
星も見えない
月も無い
ぼんやりと見える雲に
道路の上を走る冷たい風
腰にまいていた
カーディガンを羽織り
再び歩き始めながら 考える
いつの日も
明日雨に打たれた
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