ソノヒグラシ/Rabbies Diary
せみの声と鈴虫みたいな音がそろそろ合唱になる夕方
せみの死骸は
なんであんなに重量がないんだろう
木にしがみつくあの力を
重さと勘違いしているだけなのかなと
思ったことがある 遠い昔のこと
鳴き続けて完全燃焼したから
すっかり抜け殻で
あんなに軽くなっちゃうのかな
もう動かない抜け殻には
思い残したことはないのだろうか
思いは重い なんて昔誰かがいっていたし
今年も夏を迎えられたことは貴重なことで
来年も同じように迎えられるとは限らないというのに
転がったせみを見ても 本当には実感できずに
今日もその日暮らし
戻る 編 削 Point(4)