鳳凰詩篇/やまうちあつし
 
がこの部屋で何をしていたか
そして同じくらい何をしてこなかったか
マリーゴールドは萎れてしまった
孔雀はテーブルの花瓶から花弁を啄ばんでいる
私は思い立ち管理人室へ向かった
今月分の家賃を支払う
親切な管理人に一月分には少し多めの金額を
階段を上がって部屋に戻った私は
玄関を開けて思わず息を飲んだ
孔雀が羽を広げている
音もなく身動きもせず
そこに一つの額縁が
誰に見せるためなのか定かではないけれど
自分が生まれてきたことの
それだけが意味であるかとでもいうように
私は思わず見とれてしまい部屋の鍵を落としそうになる
後悔は美麗だ
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