逃走/鷲田
8月の太陽は逃走した
地面の日照りは俺達の熱気である
俺達の熱気は俺達の病でもある
今日の夜、世界は止まる
回ることを、刻むことを、変わることを放棄する
それは血の熱情が権力へと歯向かう騒めき
俺達の本質を表わす本能
歴史の1ページ1ページで語られる
音を失った文字だけの言葉は
刃物のような鋭さで時代を裂いて行った
年老いた世紀は新たな息吹を望む
一つの魂はその存在により
情熱の車輪となり、疾走する
精神は高らかに主張をし
勝利の宣言をした
その通り
世界は衝撃により偶に凍りつく
今のこの瞬間のように
静寂が横たわるある夜の欠片の中で
視点の変化により革命は訪れる
二つの目が見る景気は動かない
動いているのは何時だって俺達だ
逃走した太陽は俺たちの絶望に過ぎなかった
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