月見草/st
*** 月見草 ***
夜の空き地をさまよい みえかくれする月光のゆらめきが
月見草にとどく頃には 夏の夜空は星影で満ちている
だれもいない ひろい空間がざわめいて
ときおりふくかぜに 秋の気配はまだない
ゆれうごく かげにおわれながら
逍遙のときはすぎてゆく
*** 貝殻さがし ***
打ち寄せる なみがはこんできた
ちいさな桜貝がひとつ
ふかい底からやってきて
紺碧の海の砂浜にたどりつく
まぶしい夏のひざしが ふりそそぐ
波打ち際につづく貝殻さがし
素足にここちよい海水の冷たさ
はかないいのちのぬけがらを
ひとつひとつ集めてゆく
戻る 編 削 Point(1)