湾岸ポートレート/不老産兄弟
第四コーナーをまがると
運命が点灯する
自分探しの旅にでた若者達の
詰まるところ普通の範疇に収まる模様
天蓋桜の花びらの
四隅をしっかりと切り取る
三日月の刃先は
いつでも陽だまりの方角を指していて
それは
会話のなくなった夫婦の食卓に似ている
君の笑顔
返す言葉もなく反転
湖のほとりで
彼らはまだあそんでいる
魂をブーメランのようにして
必ず手元に返ってくるものとして放り投げて
自らの影を重ね
辺りが黒一色にそまるまで
どんなことがあっても約束は守られる
絵師達は皆その日の収入を当てにしているのだから
もしも痛みを感じたら
どう反応すればよいのだろう
この寂しさは
まるで白夜の葬儀のようだ
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