いつかの生活/ヒヤシンス
 

 驟雨の後の林道に僕の悲しみが溢れている。
 それは僕がそこにいない悲しみ。
 
 僕らが出会った薔薇園に憧れという名の薔薇が咲いている。
 憧れを持ち続ける勇気を見失わないように。

 夕暮れ時に向こうの山でヒグラシが鳴いている。
 短い命を精一杯生きてゆく僕らのように。

 湖に波紋が広がる時、僕らはそこにいるのだ。
 永遠の愛を誓った者同士。

 心の不安をかき消して、僕らは生きてゆくのだ。
 それが僕らの人生だ。

 都会の街路灯の下でそんなことを考える。
 いつかの生活を夢見ながら。
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