透明の街/
服部 剛
路面に無数の石は埋もれ
ひとりひとりの石の顔は
瞳を閉じて、哀しみ唄う
この街には色がない
(透きとおったビルの群)
この街には声がない
(透きとおった足音の群)
いつからか
前方に立つ灰色の壁を
あの日の彼の面影が
片手をついて、跳び越えていった…
*
やがて壁の向こうの雲間から
顔を出す
金色の陽は、街を照らし
久しく忘れていた…鼓動を胸に
ふたたび僕は、歩き始める
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