Miz 20/深水遊脚
 
移動した。突然幸政くんの顔を汗臭いタオルが覆った。その強烈な汗と黴の臭いに幸政くんも、隣にいた柏木くんも、むせて咳が止まらなくなった。臭いは私のところまで伝わるくらいだった。

「柏木陣営のタオルよ。戦闘はおしまい。」

春江さんが言った。どうやら汚いタオルを投げたのは彼女だ。

「春江てめぇ。ソウルシールドを使うならわざわざこんな汚い布を作らなくてもいいだろ。」
「そんな面倒なことしないわよ。フィットネスクラブからちょっと転送しただけ。」
「わざとだろ。わざと洗濯前のものを転送したろ。」
「大事なお客様のための清潔なタオルを転送するほど私も身勝手ではないわ。あんたたちにはこれで
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