人の翼/服部 剛
 
本当に行きたい道を往く人は
この世の中になかなかいない。

人の目を気にして
敷かれたレールに乗ることで
平均台の上
両腕を翼にして…一歩を、進める
あの醍醐味を、久しく僕は忘れていた。

人の目なんぞは、気にせずに
生身の声を
あの頃の空へ――叫ぶ時

ようやく僕は、想い出す。
ひとりの人の只中に長い間、隠れている
天使の名残が
肩甲骨の辺りに、疼(うず)くのを  






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