藝術としての詩/天才詩人
量販店のストレージに投棄された石油ファンヒーターの電源を入れた。立ちのぼる油膜が空気を覆っていく部屋で、丸いテーブルの上に光沢のある写真雑誌のイメージをならべ、そのひとつひとつを詳細に検討した。目に映っていたのは湿気が充填された熱帯雨林の、小さな高床の家屋で裸の子供たちが輪を描いて遊びまわる映像や、不整合につぎはぎされたアスファルトの道路に横づけされたダイハツ製のバスがラッシュの乗客を拾う、産油地帯の大都市の夕暮だった。あの日から俺は少しずつ、ランプウェイや空き地にかこまれたグーグルマップに載らない路地をつなぐ、夢のようなケーブルを敷設する計画について考えていた。いや、それは偏在する集合意識に焦点
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