樹海の輪/為平 澪
 
{引用=カラカラと糸車を誰かがまわしている 
その糸車の糸に多くの人の指が絡みつき 
血塗られた憎しみの爪をのばしたり 
いびつな恋敵の小指たちが 
ピリピリと過去の妄念に反応して 
親指は絞め殺されるように働きながら 
天に一番近い中指に嫉妬しながらも 
糸を燃やそうとする 
カラカラと糸車はまわる 
それは乾いた土地であり 
それは渇いた喉元であり 
蜘蛛の罠に引っかかった蝶が 
食いちぎられていく羽の墜ちる音(ね)
最期の 悲命(ヒメイ)
   *     * 
  (カラカラカラカラ・・・) 
   *      * 
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