のぞきいろ/あおい満月
 
あなたは目にうつる白いものを、
すべて青に変えてしまう。
水鏡にうつる足元の世界に生きる、
私たちの空まで。

あなたの青に染められた私たちは、
本当の青を知らなくなった。
ただ、雨の色だけは、
不思議とおぼえている。
あれは夏に降る雪だった。

つめたい、
という感覚を忘れていた。
あなたは冷たさを忘れた私に、
三日月を浮かべながら飲み干す。
私はあなたの喉のなかで、
ぐるぐるぐるぐる、
水流を掴みながら眠っていた。

水鏡から見下ろすあなたは、
自分がいない水のなかに、
本当はあこがれているはずだ。
私たちはあなたが落とす白い雨を、
青い傘をさしてうけとめる。


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