がいこつつづり/田中修子
 
わたしの傷をふさぐことはできないのだと
数人目の彼がおかあさんのようにわたしを怒鳴るようになり
つくづくしみました
わたしはいまひとりで
老いた犬と、ぜんまいをまく朝顔と暮らしています
大きく政治が動き
理想が燃えあがるいま、そのうしろでおかあさんを懐かしみ
わたしの心はまるで火葬場の真っ白な骨のよう
それでもわたしは笑うのです、そうして柔らかな言葉を連ね。

誰かに好かれたい詩を書こうと揺れるとき
おかあさんあなたに削られつくして
わずかに残った魂をまたはかりうりするような
そういうのはやめるのよ、これから魂をうんでゆくの
わたしは今日の
真っ白な雲をまき散らした
真っ青な空をえがき
洗濯もの乾かす端からからりとして気持ちいい
そんな静謐な日々を綴っていく。
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