情熱/ヒヤシンス
 

 内なる魂に呼応する音楽はどこへ行った。
 夜の帳のその奥に私は何を見た。
 全ては私の表面をなぞってゆくのみ。
 情熱の欠乏に微々たる感性が泣いている。

 瞳は轟炎の中の親子をただ見つめていた。
 手を差し伸べる事の出来なかった遠い記憶。
 レールは途切れ、また始まる。
 夏の日盛りに戻る事はないのだ。

 ああ、自然だけは誰の干渉も受けずに吹きすさぶ。
 お前はその心の目で何を見た。
 全てを忘却の彼方へ運び去るには若すぎる。

 考える事なしに理解など出来ない。
 自分の内なる魂に目を向けろ。
 貪欲さこそが新たな情熱を生むのだ。
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