旅人の橋/服部 剛
 
今も昔も旅人は
長い橋を渡るだろう

――何処(いずこ)から何処へ?

傘に弾ける豪雨に身を屈める日も
雪の坂をずぼり…ずぼり…上る日も
灼熱の陽炎(かげろう)ゆらめく夏の日も
背には各々(おのおの)の荷を負い
この鼓動と歩調だけは
どこまでも止むことなく

もしも、少々疲れた時は
茶屋で一服、腰を下ろし
(心の窓を少し開いて)
隣の旅人と語らおう

そうして、再び旅人達は
地を踏み締めて、立ち上がる

遙かな過去から
数珠(じゅず)の糸でつながれた
今日という日を、明日へ繋ぐように

一枚の風景画に架かる
あの橋を渡ってゆく










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