一人時間/ヒヤシンス
 

 寄る辺のない心持で湖岸に一人立ち尽くす。
 微妙な色彩で空に浮かぶ雲のように時間だけが過ぎ去ってゆく。
 確かなものは目の前の現実だけというのはあまりに寂しい。
 まるで見向きもされなくなった白鳥のボートのようだ。

 誰もが与えられた生を生きている。
 彼岸の灯のような太陽がぼんやり射している。
 誰かの投げた小石が湖面に波紋を広げる。
 私時間が現実時間とシンクロする。

 生に意味を求めると精神が破綻する。
 動には自ずと意味がある。
 ただ静かに生きたいだけなのに。

 誰かに寄り添い生きてゆくことは困難だ。
 私は今一度自分を見直す必要があるだろう。
 いつしか空には雲がなくオレンジ色の太陽が鋭く胸をえぐる。
 
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