領域/あおい満月
何かが足りない朝。
足りないのは眠りか、
ことばなのか、
前頭葉にかすみがかかる。
指を伸ばすわずかな距離に、
フィルターがかかる。
誰もが犯したくなくて、
犯してしまう領域。
私はいつも、
部屋を開け放している。
よく晴れた朝ほど、
何もはいってはこない。
きみのなかに入ろうとすると、
少しどきどきする。
きみの微笑みは可愛いけれど、
ほんの少し怖い。
求めていなさい。
と誰かがいう。
そうすれば誰も入ってこないから。
向かおうとするときみは逃げていく。
逃げろ、逃げろ、
私はきみの後ろ姿を楽しむ。
きみが逃げると、
私は服を脱ぐように気持ちがいいから。
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