聖/
レタス
彼は何処から来て
何処へと往くあてもなく
歩き続けていた
飢えた者にも
病に臥せる者にも
与えられるものは
涼しい視線だけだった
生老病死は誰にも訪れる
彼は救うという観念を捨て
涼やかな視線をすべてに送った
旅を続け森羅万象を眺め
朝に
夕べに
祈りを捧げ
明日を歩き続ける
戻る
編
削
Point
(3)