ベビー/チグトセ
そんなに折れてしまいやすいのに、毎日穏当な光の前に立っていたあなたに
知らなくていいから、知ってほしいの
無名な誰かの孤独をたとえば廃墟から持ち去って
遠い向こう側の二重の世界で再生された笑い声に耳を澄まして
それでも居場所を見つけて咲こうとする雑草
ただみんな、吸って、吐き出す
手の施しようもなく、奪い、たくさんの「恥ずかしい」が降って地面のようになって
太陽みたいにあなたが泣くから
ざわざわしない、地面のようでいたいと思うんだ
少しうるさいなら、音を切ってくれてかまわないから
少し集まりすぎたなら、元に戻してくれてかまわないから
そうできるように、
簡単には千切れないものであってくれたらいいと願う
大きなズレもなく、平穏無事であって、
ただ夕方が来るみたいに、不安でもあって、
預けられた命は、あんまりにも重くって、
同時に無関係であって、
だから、
奪わないようにして奪うやり方が、穏当なだけなんだよ
そっと、手を掴んだ
誰のものでもない手を
奇跡だって
遠い向こう側の二重の世界の
あなたに
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