私/田中修子
 
わたし、
根なし草に
転がる石
つよいつよい風に
笑ってひらめく柳の枝葉

だれか、
土に据わり花を咲かせ
苔むしてふかみどり
ずっしり受けとめ
ある日倒れゆく樫の木

わたし、
そんな
遠いあこがれは胸の中
抱かれたいとねがいながら
とらえられたらスルリ、逃げる
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