spring pringles/アタマナクス
桜の蕾が開いていくこの季節はだからあまり好きではない
本当のところ彼女は終始口元に笑みを浮かべていたし
眉根を寄せながらのそれはグアダルーペのマリアの様であったし
しかし俺はその様を本を読むようにしか感動できず
結局 彼女の眼鏡の上に射精することが癖になった
そして俺は10キロも太り 眉間と額にしわが増し 髪の毛が伸び
とりかえしのつかないことが人生には何故かあると既に知っていた
当然彼女はここにいないし
当然俺はなんとなくひとりだった
とりかえしのつかないことが人生には何故かあると既に知っている
忘れたり思い出したりしながらいまここに立っている
砂を手のひらからこぼして珊瑚の花に思いをはせたり
踏みしだかれた地面の桜をぬるいビールで流してみたり
歩き続けることもままならない日々にへらへらとキスをしたり しよう
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