spring pringles/アタマナクス
桜の蕾が開いていくその季節はあの時とまるで同じ
無邪気なあの娘に初めて下着の中身を見せた時の感覚
小部屋を占領するダブルベッドの上はあまりにも不安定で
羞恥心とその先への恐怖をあどけない好奇心で高揚に変えた彼女の
キラキラとした笑顔は俺にはギラギラギラとだけ映った
大脳新皮質を持った奇形の雄カマキリである俺は
齧りとられて真っ赤なアタマが世界に花開く
その恐らくは耐え難い幸福と快楽を予見し 糾弾された
死んでいるように生きている
言語で仮定された時間で厚化粧をした
ゾンビーの隠し通せない腐臭を
彼女はその上腕の傷跡と匂い立つような頬の赤みによって糾弾した
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