森を想う/ヒヤシンス
遠い記憶を辿ると僕はいつでも森の中にいる。
そこには寂しさも悲しみもない。
ただ胸のワクワクするような楽しみや嬉しさばかりある。
自分一人だけの秘密がいつでも隠されている。
森のぬくもりに包まれている僕は大人だ。
少年の頃の僕の心は茫洋たる海だった。
いつしか僕の心にあらゆる壁が構築された。
それはこじんまりとした森だった。
限られた森の中で僕は自由だ。
散策の中であらゆる人生を味わった。
そして未だ知らない事の方が多い。
悲しくもないのに涙ぐむのはなぜ?
記憶と現実はつながっているから。
森という母胎の中できっと僕は生きているのだ。
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