石畳と窓の向こう/梟 由香里
ふと 夢から醒めたかのように
素足に石畳がしみる
独り雪吹きすさぶ外から暖かな窓を覗き込んでいる事に
気が付いて切なくなる
自分が立っている場所は外なのだと
思い知らされる
さっきまで談笑をしていた記憶と
じゃあまたね とバイバイをした記憶が
急に現実味がなくなって
曖昧な気持ちで
また一人立ち尽くしてる真夜中
日が沈んだ空には手が届かぬ星星が瞬き
家の灯りは遠く暖かだ
それが殊更身体を凍えさせて辛い
いくら季節が巡っても
私の肩には雪が降り積もり
靴のない足が触れる石畳は冷えたままだ
ねえ 何でここにいるのかな
どうして私はそっちの住人になれないの
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