旅人/
レタス
永遠を旅する人は
時計という余計な物は持ち合わせていなかった
通り過ぎてゆく
傍らの花や青葉や
水や石を瞳に映し
旅を続ける
旅人の血液は
青く透明で
鼓動も無く
さらさらと流れていた
歩みは軽く
時折鼻歌を歌い
琵琶と篠笛を奏でながら
おひねりを与えられ
匙と椀を懐に忍ばせて
明日への旅を続けてゆく
旅人は人間ではなく
中空を彷徨う精霊のようなものだった
小鳥のついばむような糧を得ながら
また明日を旅する
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