彼女らが帰ってくるのは2週間後だ/天野茂典
若草色のミニの少女が
夕暮れのバスに乗り込んできた
バスがパッと明るくなった
バスは海まで
直行する
ばら色のミニをはいた少女ッがひとり
明るいバスに乗り込んできた
バスはかに座までゆくのかもしれない
運転手はマイクを持たない
バスは特急である
らんららん
ふたりの少女は仲良しである
だがいまは黙っている
それぞれ春の別れを惜しんでいる
乙女チックに
進路を考えている
海に着くまで彼女らは話をしない
読書もしない
黙って窓の外を眺めている
もうミニともお別れだ
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