彼女らが帰ってくるのは2週間後だ/天野茂典
 
 

  若草色のミニの少女が
  夕暮れのバスに乗り込んできた
  バスがパッと明るくなった
  バスは海まで
  直行する

  ばら色のミニをはいた少女ッがひとり
  明るいバスに乗り込んできた
  バスはかに座までゆくのかもしれない
  運転手はマイクを持たない
  バスは特急である

  らんららん
  ふたりの少女は仲良しである
  だがいまは黙っている
  それぞれ春の別れを惜しんでいる
  乙女チックに
  進路を考えている

  海に着くまで彼女らは話をしない
  読書もしない
  黙って窓の外を眺めている
  もうミニともお別れだ
[次のページ]
戻る   Point(3)