そらをおよぐ/あおい満月
事にも気づかすに。
人形は屑になりながらも
宙をあおいでいる。
本当は、
あなたの生きざまが憎いのではない。
その目を宙におよがせた、
ノイズを飲み込んだ風が憎いのだ。
私の目は宙を泳げない。
まっすぐに直視することしかできない。
さっき、
あなたは振り返った。
そして宙をおよぐ目で私を追いかけた。
あなたにはみえない姿で
あなたには聴こえない声で、
その柔らかな指に触れたのに。
あなたは頭上の道を映す鏡に目を触れる
そして映りこんだものは、
胸から血を流した、
目を宙におよがせた私でしょ?
戻る 編 削 Point(5)