そらをおよぐ/あおい満月
 
事にも気づかすに。

人形は屑になりながらも
宙をあおいでいる。
本当は、
あなたの生きざまが憎いのではない。
その目を宙におよがせた、
ノイズを飲み込んだ風が憎いのだ。
私の目は宙を泳げない。
まっすぐに直視することしかできない。

さっき、
あなたは振り返った。
そして宙をおよぐ目で私を追いかけた。
あなたにはみえない姿で
あなたには聴こえない声で、
その柔らかな指に触れたのに。
あなたは頭上の道を映す鏡に目を触れる
そして映りこんだものは、
胸から血を流した、
目を宙におよがせた私でしょ?


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