電車、通過待ち/縷々流 縷々
例えば今、口内に広がる血の味を
言葉で拭いさることができないように
例えば今、君の首に絡まるその縄を
わたしの言葉でちぎることが出来ないように
言葉など、非常に無意味なものであるのだ
それなのに
飴玉1つの価値にもならぬものを
ナイフの代わりにもならぬものを
なぜわたし達は紡ぎ続けるだろう
心を加工するだけの行為を
飽きもせず、なぜ
なぁ
血の味を紛らわすために
わたしに飴をくれないか
鉄の匂いを檸檬の香りに変えたいのだ
君がわたしに沈黙を要求しても
言葉をなくしてたまるものか
君の首に絡まる忌々しい過去を
わたしが切ってみせるのだ
だから。
なぁ、
わたしに飴をくれないか
代わりに君に珈琲でも奢ろう
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