水無月/あおい満月
 
出口のない迷路を、
指でなぞっていく。
なぞるほどに指は増えて、
鉛のかたまりになる。
そんな道を、
幾度辿っただろうか。
いつも行き止まりがあった。
越えようとするほどに、
高くなる行き止まり。
よじ登る爪の皮は剥けて、
6月の雨になって、
無情にも地をめがけて流れていく。

*

街のなかに佇む、
ゴミ箱を探しては、
見つけて、
中を漁る。
出てくるものは、
生活の余韻をまとわりつけた、
生きた死に顔ばかり。
かくいうこの右手も、
その一部かもしれないのに、
優劣をはかる余裕さえないまま、
私は街じゅうを漁る。
誰かが林檎の芯をくわえて嗤う。
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