苦い匂い/あおい満月
 
咲き誇る花を殺した。
きれいだったから殺した、
そういえば意味が繋がるだろう。
しかし、私は花を殺すことによって、
自分のなかの花さえも、
千切り殺してしまいたかった。

あなたの腕のなかで、
死にたい、死にたいと何度も泣いた。
私のこの葉のような感情を、
指でくぐって、
あなたは私の目を愛してくれました。
約束の指輪は今も、
この左手にあります。
ずいぶんと色はくすんでしまいましたが
私は古い城のように思えて、
何度も何度も抱きしめます。

駅前のフラワーショップで、
色とりどりの薔薇を買った。
台所で彼女たちを包丁で切り刻んで、
口のなかに放った。

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