ばらのこと3/はるな
っていた。つまりあるようにあるものだと思っていた。でもわたしは自分のことはそう思っていなかったから、本や花が好きだった。何も言わないし、きれいだし、面白いし。どうしてだろう。娘のあるようにあるさまを見ると、心底ほっとするのだ。そのときわたしはいない。いないとき、わたしは平穏で、ずっとこうなりたかったのかも、と思った。いるようにいないとき、わたしがいる、それはどういうことだろう。恐れていることに、もう少し近づけるかもしれないと思うのだ。
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