◎改行されゆく地平線/由木名緒美
寄り添う猫は
成約の漏洩に耳をそばだてる
オーロラが大気を離れる時
人は畏怖の何たるかを忘れる
旅客機の轟音に怯える耳は
それが上空に上がる様を見て
どんな祈りを叶えるのだろう
この血脈が薄まっていくのならば
最果ての地へと秘匿を埋蔵しに行こう
裸のあなたが魂に刻んでいる装飾で
苔生した石碑の真理を謳ってほしいのだ
逡巡に暮れるこの街の行く末は
音速の進化か口伝の復刻か
半導体を耕す指先の温もりに
選択の灯火は意志を持たないとしても
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