妻への詫状/服部 剛
 
聖者などに、なれない僕は
凸凹だらけの人間です。

凸凹だらけの僕が、あの日
凸凹だらけの君と、出逢い
凸凹だらけの息子がおぎゃあっと生まれ
歩み始めた、日々の凸凹道。

青春の日、僕等は
お互いを眩(まぶ)しく、かい被っていたけれど
君が悲嘆の闇に落ちた、夜には
歯を喰い縛り、横に立ち
なんとか、支えていたけれど

やがて生活に塗(まみ)れ
いつしか安月給の夫を支える
妻の方が、ひいひい…息を切らしていた。

明日もめらめら、東に昇る陽をみつめ
再び僕は歯を食い縛ろうと、決意する。

凸凹だらけの僕等夫婦が
青春の日々を越えた
夫婦(めおと)の絆で結ばれて
「あなたと出逢って良かったわ」
って、君の顔がもう一度、晴れ渡るように。  





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