砂時計/あおい満月
夜の瓦礫のなかを、
一列になって進むものたちがいる。
彼らは月の足音を合図に、
前へ前へと進む。
彼らには声や息づかいはない。
左右に振られる二本の目が、
彼らの骨であり、生きだ。
彼らの瓦礫を喰らう音だけは凄まじい。
瓦礫は喰われた部分だけが朝になる。
そう、
彼らは夜を喰らっている。
彼らには相手を意識する本能はあるが、
仲間意識はない。
だから他の仲間が倒れて死ぬと、
喪にも服さず死んだ仲間の身体を喰らう
彼らの敵である人間にさえ、
心はないのに、彼らに心などあるものか
彼らは日に日に肥えていく。
肥えすぎて脚を失うものもいる。
けれど彼らの夜の
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