ヒトクイバナの心/あおい満月
 
ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
(肉ガ欲シイ、肉ガ欲シイ)
灼熱の太陽の光さえ届かない、
湿った森の奥で、
ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
(肉ガ欲シイ、生キタ血肉ガ)
喉を鳴らしながら、
目を閉じて時を待つものがある。

あれは確かアマゾンだったか。
湿った深い森の奥に、
人の肉を喰らう花があるという。
花は人の血を養分として、
花開く口だけが異様に大きいという。
ふと思う。彼女は何故人を喰らうのか
何故、人でなければならないのか。

ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
(何処カデ、血ノ匂イガスル)
遠くから何者かの足音がする。
獲物を求めて
[次のページ]
戻る   Point(2)