予感/
ヒヤシンス
オルゴールが穏やかに流れる
喫茶店の窓から外を眺めると
桜がさらさらと散っている。
春が終わろうとしている。
桜の薄いピンク色の花びらが
ひとつまたひとつと僕のいる
窓枠の外に落ちてゆく。
道端に春が広がる。
空には薄い雲が流れている。
オルゴールの優しい音色のように。
色の深さに広がりを感じる。
僕は何か大切なものを失ったような気持ちになる。
決して暗い感傷ではなくて、前向きな感情だ。
新しくやってくる季節の色が僕には見える。
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