おやすみ/物川祐治
 
2メートルおきに眠る
肥えた兎
薄桃色の淡い毛並みは

ゆれて
ゆれて

蒼い夜
泡が浮かぶ
球体に敷きつめた
草は
安らかな時代の彫刻

銀兎はあらわれ
消える
おばけ

沈黙し
うかぶひとすじ
風のさなか
草は色褪せ
茫然とした夜は始まる
すやすや

ここは
ハイウェイの向こう
夜の四層目
遠い澱み

おやすみ
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