桜並木/……とある蛙
 

心弾む春の息吹を感じられる今
街中にぽつりぽつりと桜色が見える。

昨年
駅から病院へのだらだらとした並木道
物言わぬ君に逢うため、毎日歩く桜並木
春はもう来ていて、桜は花弁を散らしていたが、
沈んだ心のまま毎日が過ぎていった。
一縷の期待をかけて呼びかけてみるが、
君の眼の焦点は病室のどこかへ消えてゆく。

藤の花が咲く頃、
君は、この世と僕からおさらばした。
ほんの1年前。

そのあと、僕は梶井基次郎の「桜の木の下に」を読んだのだ。
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