紡ぎ合う/由木名緒美
夜明けの群青の空に
透明な風の蛇がうごめいていて
脊椎に貫かれた腹でゆっくりと気流を動かしている
白んだ月は皮膚を通過し波状に広がる光を手放す
朝を迎える前の消印のように
反復ゆえの忘却に身を委ねる
信じる義務がないから
まるで当然のような顔をして
未知の信者になってしまう
悲しみの義務がないから
より悲惨な実像を幻視してしまうんだ
椀に浸した雨水が
幼子のような嬌声を上げる
小さな水面に踊るのは
どんな落下も重力に抗えない故なのでしょうか
夜明けの蛇はとても臆病なので
朝陽の熱では蒸発してしまう
午後を揺蕩う白い雲は
彼の千切れた皮の断片
太陽にロープを投げれば引き寄せられそうな
絶望的な近距離感
手を固く握り合うまでは
幾夜の梯子を果て無く延長させる
今この「一秒」が遠のくまで
私達はずっと
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