せんいの波/
かんな
小雨日和に
涙がひとつぶ落ちると
空き箱に海が広がり
折られた便箋が繊維の波をつくる
皆が別れを見出だす
手先を冷たく潤す
水はしわを消さない
刻まれていく訪れに感謝し
なくすことよりも
歪んだまま保ち続けることの
脆さや危うさを
知っている君の声
郵便受けに湿った便りが届く
にじんだ文字が
春の風下までなびく
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