苦味少々/瑞海
 


ほんのひとつ
だけでいいのよ

ひとつ
わたしが大事に思う人が
わたしを大事に思ってくれる

ほんのすこし
だけでいいのよ

すこし
わたしに向かって
手を振ったり笑ったりしてくれる

それさえ叶わないの
なんて世の中なの

いつもつめたい海は
わたしが泣いているときだけ
あたたかい


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