僕の町の包帯/山犬切
 
のとっくに卒業した小学校が 昔クリアしたゲームのラスボスの住んでいる堅固な城のような ミニチュアに思える
僕ですらない僕を 僕だった僕が 他人だから あざ笑う
むかついたが そいつはいつもトラックにはねられてしまう そのトラックの運転手こそ中学時代の万引きの真犯人だ
普段心は玄関しかない その奥で舌なめずりしている 居間やキッチンやテーブルからは 潮騒が聞こえてくるのか
絶句 沈黙 静寂はどうしてそれ自体うるさいのか
午後になると かならず唾をかけられる
電信柱をかじるような味がする鉄臭い時間の過ぎ方に これからどうしようかと悩んでいるうち
鼻血が止まらない ティッシュじゃ足りない 鼻血が止まらない あれから5年とか どんどん長くなっていった 僕の町の包帯は
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