僕の町の包帯/山犬切
 
工事現場の作業音は窓越しに聞こえる
家を出る時 ドアを閉めるとその音は ドアの外の俺には聞こえても 家にはその音は聞こえないという
世界とそういう関係性にあることを いつも通り確認したら
鍵を閉めたかはどうでもよく 多数の十円玉と一円玉を 足裏にセロテープでくっつけたまま 外へ出ようかとおもう
泥団子のように粉砕を覚悟しながら 下り坂でもないのに平坦な道を転がっている 屈辱のいつものパジャマ姿で
地面は空みたいで 空は地面みたいだ だから逆立ちしているような気持ちになってくる
すれちがう自転車の窓から 見えるのは理科の実験風景  駄菓子屋から 聞こえてくるのはメタル系の音楽
そこのと
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