ジェラード・マンリ・ホプキンス「空舞う者」拙訳/matirius
 
拙訳


空舞う者

われらが主クリストに

今朝、夜明けの族(やから)を見た。光の国の
御子(みこ)、隼はまだらな暁を浴び、天の
波涛を飛ぶ。その下に風は止まず流れた。高く
大空に鳴き、波打つ翼も意のままに
有頂天。??ふと風が止む、だがなお進む、凪の間に揺れ
スケートの刃がするりと弓の弧描くよう、降下と滑空、大いなる
風にあらがった。たった一羽の鳥に、わが心ひそかに
ざわめいた。まさか到達が、飛ぶ術の主(あるじ)が、と

剥き出しの美と勇敢と行い??ああ風よ、誇りよ
羽撃(はばた)きよ! そして、そのときお前から迸った火! 幾千にも
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