少年の夜/Lucy
夜がすっかり明けて
なにもかも
とりかえしがつかなくなってから
あちらからもこちらからも心優しい人々が
花を抱えてやってきた
涙を流し祈りをささげた
いつもそうだ
愛されていた人が
悪魔みたいなやつに
むごたらしい殺され方をすると
こぞって悲しみを共有する
テレビの前でテレビの向こうで
胸を痛める
怒りに震える
まるでその純粋さゆえに
彼が犠牲になったかのように
少年は
誰にも助けてもらえない
本当に死んでしまうまで
事の重大さは気づかれない
殺されかけている彼を
誰も見つけない
彼が死んで初めて
人々の耳には届く
ああそういえば
そん
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